践祚(せんそ)と即位の違いって?
令和になった今こそ知りたい日本の歴史

令和元年がスタートして、はやくも1週間近く経とうとしています。連日列島はお祝いムードで、日本の歴史や皇室についてあらためて興味・関心が高まっているようです。
歴史的な御代替り(みよがわり)が行われた今回の改元。各メディアの報道を見ながら「なるほど!」と思ったり「どうして?」と考えたりした人も多いのではないでしょうか。今回は、その中でも「践祚(せんそ)と即位の違い」について紹介したいと思います。

践祚と即位の違い

5月1日、全国の多くの神社で「践祚改元(せんそ かいげん)奉告祭」というお祭りおこなわれました。これは文字通り、践祚と改元を神々に奉告するお祭りです。
ここで「践祚ってなに?」「即位じゃないの?」と疑問に思った人もいると思います。はたしてどんな違いがあるのでしょうか?

「践祚(せんそ)」と「即位」は、もともとは同じ意味でしたが、桓武朝(737-806年)以降は区別されるようになったと伝わっています。ではその違いを説明していきましょう。

践祚とは

践祚(せんそ)は皇位につかれること

践祚は、三種の神器を継承して天皇の御位につかれることを意味しています。

三種の神器とは、
「八咫の鏡」
「天叢雲の剣(草薙の剣)」
「八坂瓊曲玉」
のことですね。
このうち「八咫の鏡」は伊勢神宮内宮にお祀りされていて、宮中にはその御分霊がお祀りされています。そして「天叢雲の剣」は熱田神宮にお祀りされており、その御形代が宮中にあります。本物(という言い方が適切かどうかわかりませんが)が祀られているのは「八坂瓊曲玉」だけということです。
テレビで生中継された「剣璽等継承の儀」は、三種の神器のうちの「天叢雲の剣(の御形代)」と、「八坂瓊曲玉」を継承する儀式でした。これとは別に宮中賢所では「八咫の鏡(の御分霊)」を継承する儀式がおこなわれています。

これらの三種の神器を継承することが、天皇の御位におつきになるということなのです。

ちなみに践祚の≪践≫は「践(ふ)む」と読み、≪祚≫は「儀式のときに登る階段のこと」です。つまり皇位におつきになる儀式の際の、階段を践(ふ)むことを表して「践祚(せんそ)」と言うのです。

践祚(せんそ)…天皇陛下が三種の神器を継承し、皇位につかれること

即位とは

即位とは

では即位はどのような意味かと言うと、天皇陛下が皇位につかれたことを国内や諸外国に公式に宣明することを言います。5月1日におこなわれた「即位後朝見の儀」は、安倍首相をはじめとする国民の代表に向けて皇位につかれた旨を宣言したもので、国内外に向けた公式の宣明ではありません。

即位…皇位につかれたことを国内外に宣明すること

  
「即位礼正殿の儀」は、10月22日(火)におこなわれます。

どうして統一されたの?

践祚と即位は、意味が異なることがお分かりいただけたでしょうか?
ではどうして、報道では「即位」という言葉だけが用いられているのでしょう。実は今の皇室典範には「践祚」という言葉が入っておらず、「即位」と書かれているのです。明治22年に制定された旧 皇室典範と、戦後の昭和22年に制定された現行の皇室典範とを比べてみましょう。

(旧 皇室典範)
天皇崩スルトキハ皇嗣即チ践祚シ祖宗ノ神器ヲ承ク

(現行 皇室典範)
天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。


どうして「践祚」の言葉は消えてしまったのでしょうか。三種の神器を継承する「践祚」は、宗教的意味合いが強いなどの理由で、すべて「即位」と言われるようになったのかもしれません。儀式には総理大臣も出席するので政教分離の背景もあるでしょう。
ちなみに同じような理由で、大嘗祭(だいじょうさい)についても現行の皇室典範には書かれていないんです。
※大嘗祭は、天皇陛下が御位につかれてから初めておこなわれる新嘗祭のこと。新嘗祭についてはこちら⇒【永久保存版】新嘗祭とは何の日か

大嘗祭は日本でいちばんのお祭りと言っても過言ではない祭事ですが、国事行為ではなく今はあくまでも皇室の行事になっているんですね。

まとめ

「践祚」の言葉が使われなくなったとしても、日本の皇位継承は「即位」の一言では言い表せません。天照大御神から受け継がれてきた(サラッと書きましたがこれって凄いことです‼)三種の神器を継承する「践祚」を経て、天皇の御位につかれるのだということを知っておくと良いかもしれません。

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