田村神社
tamurajinja

田村神社 前編
~龍神伝説が伝わる四国随一の聖地~

創建 和銅2年(709年)
御祭神 田村大神たむらのおおかみ
御神徳 縁結び、安産、豊穣 など

讃岐国一宮、田村神社は、創建1300年以上の歴史を持つ由緒正しい古社だ。前編では、奥殿の床下に隠された秘密や、龍神様の伝説が伝わる理由など、四国随一の聖地「田村神社」の興味深い歴史に迫る。

田村神社の御祭神

讃岐を発展させた田村大神をまつる

讃岐国一宮として、1300年以上にわたりこの地を守り続けている鎮守の神様、田村神社。御祭神は、田村大神(たむらのおおかみ)と言う。

この田村大神という名は、五柱の神様の総称だ。
・倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)
・五十狭芹彦命(いさせりひこのみこと)
・猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)
・天隠山命(あめのかふやまのみこと)
・天五田根命(あめのいたねのみこと)
と良い、それぞれに功績や伝説を残された神様たちだ。

田村大神を御祭神としてまつる田村神社の御社殿

田村大神を御祭神とする田村神社

御祭神は卑弥呼?!

田村大神はどのような神様たちなのだろうか。一柱ずつ見てみよう。

・倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)は、讃岐国の開祖伸と伝わる神様。呪術的な力を持ち、あの卑弥呼だとも伝わる女神だ。第7代孝霊天皇の皇女で、疫病に苦しむ人々を救ったり謀反者を予知して未然に防いだりと、数々の勲功を挙げている。その功績から「百襲(ももそ)」という、多くの勲功を挙げたという意味の名前をもらったそう。

・五十狭芹彦命(いさせりひこのみこと)は、別名を吉備津彦命(きびつひこのみこと)と言う。岡山県にある吉備津神社の神様と同一神で、先に紹介した倭迹迹日百襲姫命の弟になる。「四道将軍」(しどうしょうぐん)」という崇神天皇の時代に国を平定するため四方に派遣された将軍の一人と伝わっている。吉備国の祖神となった神様だ。

吉備津彦命と言えば、桃太郎のモデルとされる神様。田村神社境内には、桃太郎伝承の銅像がある。

田村神社にある桃太郎伝承の銅像、卑弥呼と桃太郎のツーショット

桃太郎の左側が卑弥呼だと伝わる倭迹迹日百襲姫命

残りの三柱も紹介しよう。
・猿田彦大神と言えば、伊勢神宮の近くにも猿田彦神社がある、皇室とゆかりが深い神様だ。天照大御神の子孫、瓊瓊杵尊の降臨(天孫降臨)を手伝った"導きの神様"として信仰されている。猿田彦大神が向かう所には、どんな禍神(まがつかみ、災いの神様)も恐れて逃げていったと伝わる。

・天隠山命は、高倉下命(たかくらじのみこと)とも言われる神様。神武天皇東征の際、窮地を救った神様だ。

・天五田根命は別名、天村雲命(あめのむらくものみこと)とも言い、天隠山命と共に紀伊国から讃岐国に渡って来られ、水上運送などの整備を進めた神様だ。

以上の五柱が「田村大神」になる。それぞれの神様の功績や性格から、どのような御神徳があるのか想像しながら参拝してみよう。

水が豊富な聖地だった

始まりは水神様をまつる自然崇拝

田村神社の信仰が始まったのは、ある土地柄の問題と深く関係している。

それは、香川県で例年のように問題となる"水不足"だ。

香川県は雨が少なく、降ったとしてもすぐ海に流れ込む地形のため、昔から水不足に悩まされてきた。人々にとって雨水や湧水が頼みの綱だったのだ。
そんな地域の中で、この田村神社のあたりは地下水が比較的豊富で、稲作の中心地だったそう。そのため「水神様」を祀る自然崇拝がおこったことが、田村神社の始まりである。

田村神社の神様は定水大明神

境内にある神池も、地下水を引いている

その後、大和朝廷の平定により、現在の御祭神をおまつりするようになっていった。

奥ポイント

奥殿下に眠る龍神伝説

見てはいけない深淵がある

そんな水神様と関係する、興味深い伝説が田村神社には伝え続けられている。

それは奥殿の地下10メートル程に眠る"深い淵"だ。この淵の奥深くで湧き出ている出水には、龍神様が棲んでいるという伝説があり、田村神社の御神体となっている。つまりここが、田村神社の中心地なのだ。
しかもこの淵を見た者には、恐ろしい祟りが起きるという。

そんな奥殿の下に眠る淵は、もちろん見ることはできない。

田村神社の本殿下には龍が棲む深淵がある

奥殿の地下には、龍神様が棲むと伝わる淵がある

淵を見てしまったものは、、、

では、実際に深い淵を見てしまった人はどうなったのだろうか?

江戸時代、田村神社の改築工事を命じられた武村斉庵(たけむらさいあん)という人が、当時の宮司に「淵を見たい」と言い出した。困った宮司は「どんな祟りがあるか分からない」と断ったが、それでもどうしてもと頼まれ、見せることにしたそう。

すると…淵から水が巻き上がり、中から龍が赤い舌を巻きながら頭を出して斉庵をギョロッと睨んだ!斉庵は気分が悪くなり、その日の晩に亡くなってしまったそうだ。

また、ある別の大工が工事中に誤って、淵の中にノミを落としてしまった。するとしばらくして龍が現れ、落としたノミを差し出してくださったそう。これを丁重にいただけば良かったものの、大工は驚いて足で蹴飛ばしてしまったらしい。この大工もたちまち亡くなってしまった。

龍神様が棲むと伝わる淵

現在、この龍が棲む淵に近付けるのは宮司のみ。掃除や神事の際に入るだけだ。

淵には蓋がされ、沢山の石が古墳のように盛られてあるそう。淵の中は見られないが、中から風が吹く音が確かに聞こえるらしい。

奥ポイント×2

田村神社の龍神巡り

龍に小判で金運アップ祈願!

そんな田村神社のはじまりとも関係する「龍神様」を参拝できるのが、摂社「宇都伎社」の前にある龍神様の像だ。

田村神社の龍神様の像

龍神様の像

高さ約5.7メートルの巨大龍神様のまわりには、よく見ると沢山の大判・小判が溢れている。見るだけでも何だか金運が上昇してしまいそうなお姿だ。

田村神社にある龍神様に小判を奉納しよう

ある一説によると「小判を龍神様に奉納する者、必ず長者になる」と伝わるそう。
そこで、龍神様の像に小判を奉納し、金運アップを祈願する参拝方法ができたのだ。上へ、上へと昇っていく龍の姿に、金運・運気上昇の願いを込めよう!

初穂料は、小判=600円、大判1,000円。裏に名前を書いて、直接龍神様に奉納しにいこう。

他にも、境内には龍や水に関する像が複数見られる。興味がある方は、実際に訪れてゆっくり龍神巡りをしてみよう!

前編では田村神社の御祭神、由緒、そして龍神伝説を紹介した。
後編では、いよいよ境内のおすすめ参拝スポットを紹介する。といっても見所がとにかく多い田村神社、紹介しきれるだろうか・・・。

基本情報

神社名

田村神社 ~Tamura Jinja~

住所

〒761-8084 香川県高松市一宮町286
286, Ichinomiyacho, Takamatsu-shi, Kagawa, 761-8084, Japan

アクセス

高松琴平電鉄琴平線「一宮」駅より徒歩約10分
コトデンバス一宮バス停より徒歩約1分

HP

http://tamurajinja.com/

こんな方におすすめ

女子旅、写真好き、龍好き

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