吉備津神社
kibitsu jinja

吉備津神社 前編
~桃太郎伝説の地に伝わる、鬼が唸る鳴釜神事とは~

創建 古墳~弥生時代頃
御祭神 大吉備津彦命おおきびつひこのみこと
御神徳 武運、産業守護、延命長寿、安産育児、学問芸術 など

山陽地方随一の由緒ある神社、吉備津神社。三備(備前・備中・備後)国の一宮として、地元のみならず全国からも信仰を集めている。誰もが知る「桃太郎」のルーツがある地と言われ、鬼の伝説も残されている場所だ。今回はそんな吉備津神社の由緒や、鬼にまつわる「鳴釜神事」の様子を紹介する。

吉備津神社の御祭神「大吉備津彦命」とは

崇神天皇に派遣された4人の将軍

吉備津神社の御祭神は、大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)という神様で、第7代孝霊(こうれい)天皇の皇子といわれている。

日本書記によると、第10代崇神(すじん)天皇の時代、崇神天皇は山陰・山陽・北陸・東海の4つの地域に、「四道将軍(しどうしょうぐん)」を派遣して国の平定を図ったそう。大吉備津彦命はその将軍の一人なのだ。

そして吉備国に入った大吉備津彦命は、当時、大和朝廷に抵抗していた温羅(うら)一族を平定したのだ。
この内容は古事記によると「言向(ことむ)け和(やわ)したまいき」、つまり「話し合いによって統治した」と記されている。

三備国一宮、吉備津神社の御社殿

大吉備津彦命をまつる吉備津神社

霊夢のお告げによって創建

仁徳天皇に神様が語りかけた?!

時が進み、第16代仁徳(にんとく)天皇が吉備国へ行幸してこられた。当時このあたりを治めていた豪族、御友別(みともわけ)は、一族を引き連れて仁徳天皇を歓待し、昔この地を統治された大吉備津彦命の功績をお伝えしたという。

その後仁徳天皇は、大吉備津彦命の霊夢を見られた。これをお告げと受け取った仁徳天皇は、大吉備津彦命の業績をたたえる神社を建て、現在の境内地に5つの社と、吉備国に72の末社を創建なさったそう。

こうして、吉備国の祖神として大吉備津彦命を崇めたのが、吉備津神社の始まりだ。

伝承は諸説あり確かな創建は不詳だが、承和14年(847年)には『続日本後紀』に名前が登場しており、この時すでに朝廷から信仰されていたことが分かる。

吉備津神社から見える吉備国の町、昔はここに花街があったそう

吉備津神社から見える吉備国の町

ちなみに、江戸時代には吉備津神社の麓に有名な花街があったらしい。今はその面影はない。

奥ポイント

どうして桃太郎伝説ができたのか

御祭神の大吉備津彦命は、童話『桃太郎』のモデルとされている。
先ほど「温羅(うら)」という豪族を、話し合いによって統治したと紹介したが、時代が進むにつれて今の桃太郎伝説に近いストーリーができあがっていったようだ。

それは戦国時代の終わりのこと。吉備津神社の当地は荒れ果てた状態になっていた。そこで神社を再興させるために、御祭神の伝説をより詳細に書き綴ろうという動きがおこり、物語が形成されていったのだ。

物語は「吉備国には外国からやってきた悪さをする鬼がいて、それを大吉備津彦命が退治した」というストーリーになっている。これこそ桃太郎伝説の原型だ。

そして大吉備津彦命は吉備国に住み続け、人々に殖産を教え、281歳まで生きたと話は続いていく。産業の神、長寿の神として信仰されているのはこのためだ。

吉備津神社の御祭神、大吉備津彦命は桃太郎のモデルと言われている

実際に、境内のすぐ近くに宮内庁が管理している「中山茶臼山(なかやまちゃうすやま)古墳」という大きな前方後円墳があり、大吉備津彦命の陵墓だと伝わっている。

面白いことにこの古墳は、大吉備津彦命に派遣を命じた崇神天皇の御陵とまったく同じ設計で、ほぼ1/2の大きさだということ。無関係とは思えない!

その他にも、楯築遺跡、矢喰宮、血吸川、鯉喰神社など『桃太郎伝説』と関係のある見所が岡山には多くある。

吉備津神社に眠る鬼とは

退治したはずの鬼がうなる

そんな歴史ある吉備津神社の境内に、退治した鬼、つまり温羅(うら)にまつわる場所がある。それが「御竈殿(おかまでん)」という建物だ。なんとこの建物の下には、鬼の首が眠っているそう!

大吉備津彦命に仕える約束をする

鬼の首というのは、つまり大吉備津彦命が退治した温羅のこと。退治された後も不思議と鬼は唸り声を上げ続けたため、御竈殿の釜の下に埋めたが、それでもしばらく唸り続けたそう。困り果てていた大吉備津彦命の枕元にある日、鬼の霊が現れこのように言ったのだ。

『私の妻、阿曽媛(あぞひめ)を呼んできて、大吉備津彦命の神饌を作らせなさい。私はあなたの第一の使者となって、四民に賞罰を与える。大吉備津彦命は、世を去った後は霊神となりなさい。』
※阿曽という地が温羅の本拠地

大吉備津彦命はお告げの通り、阿曽媛を呼び寄せて、竈で神饌(しんせん、神様にお供えする食事)を作らせた。すると、鬼の唸り声は治まり、国に平和が訪れたそう。

ちなみにこの「食事のお世話をする」ということが、「私はあなたに降伏しました、服属します」という意味を表している。

奥ポイント×2

鳴釜神事で吉凶占い

鬼の首が吉凶を占う鳴釜神事とは

鬼が告げた通り、御竈殿では「四民に賞罰を与える」という吉凶占いの神事「鳴釜(なるかま)神事」が今も続けられている。
名将、黒田官兵衛もこの御竈殿で吉凶を占った記録があるそう。

神事は神主さんと、釜を見張る女性の二人で行われる。一昔前までは阿曽(あぞ)出身の女性と、阿曽の職人が作った鉄釜で行われていたらしい。

鳴釜神事を補助する女性

まったく鳴らないこともある?!ドキドキの神事

鬼が下す賞罰は、釜の鳴り方によって伝えられる。その鳴り方はさまざまで、大きく野太い音だったり、小さい音だったり、途切れたり、最初から最後まで鳴り続けたり。音の高低が出ることもあるそう。そしてまったく鳴らないことも…。基本的には、大きく長く豊かに鳴ると吉だという。
しかし、大切なのは“自分がその音を聞いてどう感じたか”だと神主さん。大きな音が鳴ったとしても「なんとなく嫌な音に聞こえた」という人や、鳴っても「聞こえなかった」という人もいるらしい。

とあるダンス発表会を控えたチームがここで釜鳴神事をした時は、まったく鳴らなかったそう。そこでメンバーは、今の振り付けやメンバーを見直したことで、優勝という結果を残したらしい。
このように、今のままではなく、もっと工夫しなさい、見直しなさい、そういったメッセージを受け取ることで、結果として吉になっていった人が多くいるのだ。

実際に「鳴釜神事」を受けてみた

奥宮編集部も鳴釜神事を受けさせていただいた。占うのは当サイトの繁栄、ということで「心願成就」で御祈祷してもらうことに。本来は撮影禁止の場所だが、特別に撮影許可をいただいている。独特の雰囲気をぜひ写真から感じ取ってほしい。

【鳴釜神事の受け方】
1 社務所受付で申し込みをし、祈願内容・名前・住所を書く(御祈祷料3000円から)
2 御祈祷殿にて御祈祷を受ける
3 御竈殿へ移動
4 神主さんが祝詞を上げて、女性が釜で玄米を炒る
5 釜の鳴る音を聞く
6 最後に炒った玄米を食す

鳴釜神事を実際に体験してみた。心地よい音が鳴ったら吉となる

始まった途端「ボォ―――」と、低く響く大きな音が鳴りだした!いきなり鳴り出してビックリするほど。だが決して不快な音ではなく、荒くない美しい音が響き出した。釜の音と振動を全身で感じ、また神主さんの祝詞との相乗効果で、非常に有難い空間だった。
これは「大吉」に違いない。

鳴釜神事はいつ行っているのか

午前9時~14時(受付は8時30分~)の間で毎日受け付けているが、毎週金曜日は行っていない。
※5月、10月の第2日曜日と、12月28日は神事のため出来ません。

鳴釜神事はいつ体験できるのか、ご案内の看板

最後に御竈殿の秘密を教えてもらった。

御竈殿の特徴ともいえる真っ黒な柱や壁。これは「煤(すす)」なのだそう。ここで火を焚くため煤の色が染み付いていき、長年の煤が染み込んでいるのだ。

昔は釜の火を消さずにいたそうだが、今は重要文化財に指定されたため火は毎日社務所に持ち帰り、翌日また種火を御竈殿に運ぶのだという。

吉備津神社の御社殿と御神木の銀杏の木

前編では、吉備津神社の歴史と御祭神、そしてそれに由来する「鳴釜神事」をご紹介した。
神事で大吉の音が聞けて安心した編集部、後編ではさらに気合いを入れて境内の魅力を紐解いていく。

基本情報

神社名

吉備津神社 ~Kibitsu Jinja~

住所

〒701-1341 岡山県岡山市北区吉備津931
931, Kibitsu, Kita-ku Okayama-shi, Okayama, 701-1341, Japan

アクセス

JR吉備線(桃太郎線)「吉備津駅」から徒歩10分

HP

http://www.kibitujinja.com/

こんな方におすすめ

神話好き、厳かさが好き、車旅(まわりに沢山の史跡があります)

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