湊川神社
minatogawa jinja

湊川神社 後編
~今も受け継がれる「公」の想い~

創建 明治5年(1872年)
御祭神 楠木正成くすのきまさしげ
御盛徳 智・仁・勇
忠誠と正義

神戸の中心地には楠木正成(くすのきまさしげ)公を祀る立派な神社がある。かつて乱世の中で天皇に忠誠を尽くし、正義と公の精神で生き抜いたその姿は、多くの日本人に慕われ、死後も歴史の偉人たちに大きな影響を与えた。忘れてはならない日本人としての心を伝える湊川神社の魅力を紐解く。

大楠公の再来!「楠公武者行列」

明治維新の立役者たちに大きな影響を与えた、楠木正成(くすのきまさしげ)公を祀る湊川神社。正成公の命日である5月25日前後の3日間には「楠公祭(なんこうさい)」が斎行される。平成30年(2018年)の楠公祭では5年ぶりに御神幸「楠公武者行列」も巡行されるのだ。

楠公武者行列

楠公武者行列

武者行列が行われるのは5月26日。この巡行は、隠岐から帰京される後醍醐天皇を、正成公がお迎えし、京都へ先導されたときの姿を称えて行われる。当時の衣装や武具が厳密に再現され、歴史絵巻さながらの光景が見られる。著名人の参加も予定されているそう。

約700人が参加する楠公武者行列

700人程が参加する楠公武者行列

約700人が参加する楠公武者行列

鎧兜姿の騎馬武者や騎馬女房、直垂(ひたたれ)姿で帯刀した武者姿の与丁(神輿を担ぐ人)が金色の神輿を担ぐ様子など、全69役、約700名が約1㎞に亘り一大歴史絵巻を展開する。初夏のまぶしい日差しのもと、楠木正成公の時代がよみがえる武者行列。明治維新150年の平成30年は一層盛り上がりを見せそうだ。

奥ポイント

宙に託されたタイムカプセル

平成7年(1995年)1月17日に発生した阪神淡路大震災では、幸い湊川神社の御社殿は大きな被害を免れた。戦後に再建された社殿が鉄筋コンクリート造りだったため、影響が少なかったのだ。一方参道にある鳥居は倒壊。震災後再建された鳥居には、ある思いが込められている。

阪神淡路大震災後、再建された湊川神社の鳥居

震災後再建された鳥居

左側の「笠木(かさぎ)」の部分に、鳥籠のような網目がある。この中には、被災した氏子たちの祈願文が収められたタイムカプセルが入っているのだ。カプセルが明けられるのは、震災から100年後の2095年。中にはどんな未来を思って何が託されているのだろう。公開されるその日まで、平和でありますようにと願いながら通りたくなる特別な鳥居だ。

タイムカプセルが入った鳥居

タイムカプセルが入った鳥居

奥ポイント×2

幸せを呼ぶ木は良縁を連れてくる?

明治11年、パリ万博の事務官長だった前田正名が初めて日本にオリーブの苗木を持ち帰り「神戸オリーブ園」が開園された。当時、明治新政府は殖産興業政策を掲げており、オリーブに注目していたのだ。神戸オリーブ園では日本で初めての搾油も行われたという。
そして、それと同じ苗木が湊川神社にも植えられており、今や現存しているのはこの木だけなのだそう。

湊川神社のオリーブの木

幸せを呼ぶというオリーブの木

前田正名と、当時の湊川神社の初代宮司折田年秀は同じ薩摩藩士であり、親交も篤かったそう。新しい国の在り方を、創建間もない神社と新設のオリーブ園にそれぞれ重ね、オリーブ樹の育成を見守りつつ語らったのかもしれない。
オリーブの木は「幸せを呼ぶ」と言われており、よ~く観察するとハート型の葉っぱが見つかることも!

ハート型の葉っぱを探してみよう

ハート型の葉っぱを探してみよう

そんなオリーブの木の花言葉は「平和」と「知恵」。国のためを想い知恵を絞り戦った楠木正成公と、平和を願う神社の想いが象徴されているような木だ。

有名すぎるあの銘菓と関係が!
御朱印を解読

御朱印を読めばその神社のことがもっと分かるかもしれない。湊川神社の御朱印にはどんな意味が込められているのだろうか。

湊川神社の御朱印解説

この「菊水」の神紋は、楠公さんの意匠とともに有名な神戸の銘菓「瓦せんべい」にも描かれている。実は、瓦せんべいは神戸開港と神社創建、二つの申し子のような神戸銘菓なのだ。
当時、開港間もない神戸では菓子の材料が比較的手に入りやすかったことが功を奏し、まだ高価だった小麦粉と卵、砂糖を使用したハイカラな味は爆発的な人気となった。
瓦型の由来は所説あるが、湊川神社創建にともなう瓦の御寄進にちなんで作られた、とか、崇敬心篤い煎餅屋の主人が趣味だった社寺の瓦収集から発案した、などと言われている。

神戸銘菓 瓦せんべい

幕末から続く楠公顕彰の世相とも相まって、どのお店も菊水紋や桜井の訣別(正成公と息子との別れ)、騎馬姿の楠公などの意匠を焼き、神戸土産として大変な人気を博したそう。
「神戸駅前から見れば彼方此方に楠公父子の図、さすが神戸、町を挙げて楠公顕彰とよく見れば全て煎餅屋の看板だった」という話もあるほど、神戸駅前から続く門前街は旅館や瓦せんべいなどの土産物屋がひしめき、大変賑やかだったという。

菊水總本店 瓦せんべい

かつて乱世の中、天皇に忠誠を尽くし正義と公の精神を貫き通した楠木正成公。その姿は、後世多くの人々を魅了し続け、国を守る礎となり、今でも御神霊となって私たちに大切な精神を伝え続けている。湊川神社の境内をじっくり歩き、歴史からのメッセージを感じてみてほしい。

基本情報

神社名

湊川神社 ~Minatogawa Jinja~

住所

〒650-0015 兵庫県神戸市中央区多聞通3-1-1
3-1-1, Tamondori, Chuo-ku Kobe-shi, Hyogo, 650-0015, Japan

アクセス

JR神戸線「神戸駅」から北へ徒歩約3分
阪急・阪神・山陽各電車「高速神戸駅」下車すぐ
(東改札を出て、右手の階段を上がると正門前です)
市営地下鉄山手線「大倉山駅」から南へ徒歩約5分
市営地下鉄海岸線「ハーバーランド駅」より北へ徒歩約5分

HP

http://www.minatogawajinja.or.jp/

こんな方におすすめ

歴史好き、武士、学問

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