福井県護国神社
fukuiken gokokujinja

福井県護国神社 ~大丈夫!学業と志の神様が参拝者を見守る神社~

創建 昭和16年
御祭神 橋本左内命 含む英霊 31,993柱
御神徳 合格必勝、安産、厄除、病気平癒など

靖国神社を中心に、全国各地に鎮座している護国神社。福井県護国神社には、明治維新の志士・橋本左内(橋本景岳)をはじめ、福井県にゆかりのある国事殉難者などの御霊がおまつりされている。今回は福井県護国神社が伝えている橋本左内先生が大切にしていた言葉「大丈夫(ますらを)」の意味、境内の見所、人気の御守りなどを紹介する。

護国神社とは

今回取材させていただいたのは、福井県護国神社。護国神社と言えば一度は聞いたり参拝したりしたことがある人も多いはず。では全国各地に鎮座する“護国神社”とは何なのだろう。

神様は大きく二つに分かれる

私たちが普段お参りする神社の神様は、大きく二つに分けることができる。
●自然崇拝から生まれた神話に登場する神様
●実際に生きていた偉人が神格化した人間神

天照大御神(アマテラスオオミカミ)や木花之佐久夜毘売命(コノハナノサクヤヒメノミコト)などは、自然崇拝を起源とし、”神話に登場する神様”。
一方、菅原道真公や徳川家康などは、実際に生きていた徳の高い人間が神様となった”人間神”となる。

全国にある「〇〇護国神社」は、この”人間神”をおまつりする神社で、明治維新~大東亜戦争にかけて日本の発展や日本を守るために亡くなられた方々を神様とする神社だ。

福井県護国神社の鳥居

福井県護国神社の鳥居

毎日が慰霊祭

福井県護国神社へ取材に訪れた日、境内には朝から祝詞の声が響きわたっていた。護国神社で慰霊祭が行われない日はほとんどない。366日(閏年の2月29日を含む)、戦没者がいない日は無いため毎日慰霊祭がおこなわれ戦没者のお名前が読み上げられる。護国神社が他の神社と違う点の一つだ。

福井県護国神社のご祭神

では福井県護国神社には、どのような人間神がお祀りされているのだろうか。
こちらには、安政の大獄~大東亜戦争(1858~1945年)の間に戦死傷病、殉難、殉職された
≪31,993柱の英霊≫
がお祀りされている。

31,993柱の英霊をお祀りする福井県護国神社

31,993柱の英霊をお祀りする福井県護国神社

神職の方の説明によると「誰よりも、ふるさとのことを強く思ってお亡くなりになった神様」をお祀りしているのが全国の護国神社なのだ。

奥ポイント

橋本左内先生とは

頭脳明晰なご祭神、橋本左内

福井県護国神社のご祭神の中で、もっとも有名な英霊が橋本左内(橋本景岳)。地元では「左内(さない)先生」と呼ばれ、大人から子供まで親しまれている。
最近だと、大河ドラマ「西郷どん」で風間俊介さんが演じており注目した人もいるかもしれない。

では、橋本左内がどのような人物だったのか紐解いてみよう。
福井藩士だった橋本左内は非常に頭が良かったことで有名で、西郷隆盛とともに一橋慶喜を次期将軍にするために奔走した人物だ。西郷隆盛は薩摩藩主の島津斉彬に、橋本左内は福井藩主の松平慶永(春嶽)にそれぞれ見出されたという共通点がある。
左内は小柄な体格で151.5cmだったと伝わっているが、頭脳明晰さはずば抜けており西郷も左内に大きな信頼を寄せていた。

一橋慶喜(のちの徳川慶喜)の将軍擁立をすすめた左内だったが、反対派の井伊直弼の強行により徳川家茂が将軍継嗣に決定すると厳罰に処され、26歳の若さで生涯を閉じた。(安政の大獄)

県内の中学2年生がおこなう「立志式」とは

志半ばで生涯を終えた橋本左内だが、数え年15歳の時に書き記した「啓発録(けいはつろく)」は今でもよく知られている。啓発録の中で左内先生は人生・学問のこれからの目標や考えをまとめており、次の5つの指針を立てている。

「稚心(ちしん)を去る」
「気を振るう」
「志を立てる」
「学に勉める」
「交友を択(えら)ぶ」

この指針を見ても、いかに左内先生が秀才で高い志を持っていたかが分かる。


そんな橋本左内の志を後世に伝えるため福井県内の公立中学校では、数え年15歳にあたる中学2年生による「立志式」という取り組みがおこなわれている。

福井藩士 橋本左内(橋本景岳)

福井藩士 橋本左内(橋本景岳)

「立志式」で学生たちは、ふるさとが生み出した偉人橋本左内先生の生き方を学ぶとともに、自らの今後の目標を発表するのだ。こういった取り組みの影響もあり、若い人たちは左内先生についてよく知っており、秀才だった先生にあやかろうと護国神社に合格祈願に訪れる学生も多いそう。

奥ポイント×2

「大丈夫」の本当の意味

ご祭神 橋本左内命が心に留めた言葉

福井県護国神社の境内には、ある橋本左内の生き様を表す見どころがある。
それが「急流中底之柱」という高い柱だ。

福井県護国神社にある「急流中底之柱」

境内にある「急流中底之柱」

これは、左内先生が大切にしていた次の言葉から生まれたもの。

「急流中底之柱 即是大丈夫之心(きゅうりゅうちゅうていのはしら すなわちこれますらをのこころ)」

意味は、「急流の中にある柱のように、いかなるときも動じず流されずに雄々(おお)しく建っている姿こそが大丈夫(ますらを)の心である。」となる。
左内先生はこの言葉をいつも使っていた本箱のふたに記して、心に留めていたそう。先生が生きた時代はまさに激流の時代。そんな中で本を読む度にこの言葉を見て、ぶれない信念を磨き上げていったのかもしれない。

そんな想いを表現した「急流中底之柱」は、福井県産の杉の木で作られたもの。左内先生の命日10月7日にちなみ、高さは10.7mとなっている。


また、境内には左内先生と背比べをすることができる石碑も。

等身大の橋本左内が描かれた「背のび石」

等身大の橋本左内が描かれた「背のび石」

ほかにも、左内先生が15歳の時に記した「啓発録」の説明などもあり、訪れるだけで福井の偉大な先人の想いに触れることができる。

厄落とし!災い落とし!

橋本左内以外にもある、福井県護国神社ならではの見所やご利益スポットを紹介!

盃(かわらけ)を割って厄払い

境内に褐色の土器のかけらが集まっている場所がある。ここで静かに盃(かわらけ)を割っている人たちが…。

盃落としの神事

盃落としの神事

ここは「盃落としの神事」ができる場所。厄年の人や、災いを避けたい人、断ち切りたいことがある人、悪縁を切りたい人が社務所で盃(かわらけ)を受け、ここで割って厄災を祓っているのだ。

盃落としの神事の方法

≪厄災落としの神事の方法≫
1 社務所で授与(初穂料500円)、盃の表に氏名と数え年、裏に避けたいことや断ち切りたいことを記入する
3 神事処の前で心を鎮める
4 真ん中にある石柱の上から盃を落として割る

注意点は、一人ずつ行うこと、投げつけたり叩きつけたりしないこと、斎場を覗き込まないこと。まわりの人の安全に気を配って盃を割り災いを断ち切ろう。

最強な狛犬がいる

福井県護国神社の狛犬は、県内でも最大級の大きさを誇っている。しかし誇れるのはその大きさだけではないようだ。

不倒の狛犬

向かって右側にいらっしゃる狛犬は、通称「不倒の狛犬」。昭和23年に起きた福井大地震のとき、すべての社殿が倒壊した中でこの狛犬だけが倒れなかったのだ。

福井県護国神社の不倒の狛犬

不倒の狛犬

無傷の狛犬

一方、左側の狛犬は地震のとき真っ逆さまに倒れてしまった。しかし起こしてみると、なんとほとんど損傷がなかったそう。そこで左の狛犬は「無傷の狛犬」と呼ばれるようになった。

福井県護国神社の無傷の狛犬

無傷の狛犬

非常に縁起の良い最強な狛犬たち。
不倒の狛犬は倒れないことから「商売繁盛」の願い、無傷の狛犬は一度倒れてよみがえったことから「病気平癒」などの願いをこめて「願ひ布(初穂料300円)」を結ぶ人も多い。

運試しができる「運上玉」

創建時の礎石で運試し

「無傷の狛犬」の前にある石組は、創建時の社殿の礎石でつくられたもの。当時の人々の護国神社創建に対する熱い思いがこめられているとして大切にされている。ここでは運試しの「運上玉(あがりだま)神事」ができるのでぜひチャレンジしてみよう!

運上玉神事で運試しができる

運上玉神事で運試しができる

≪運上玉投げ神事の方法≫
1 社務所で運上玉(あがりだま)を3玉いただく(初穂料200円)
2 指定の場所に立って運上玉を投げる

石組みには「大吉」と「吉」の穴がある。チャンスは3回!運試しにぜひチャレンジしてみよう。

英霊に水を捧げる「献水石碑」

英霊に柄杓一杯の気持ちを

終戦60周年の年に、福井市の遺族会婦人部の方々によって建立された「献水石碑」もある。

福井県護国神社の献水石碑

献水石碑

福井の英霊の多くは、フィリピンの戦地で亡くなられた方が多いそう。フィリピンでは灼熱の中飢えによって命を落とされた方が多かったことから、お水を捧げる献水の石碑が贈られたのだ。
水を丸い石碑にかけて、祖国を守るために戦地へ赴むかれた英霊たちを慰め、また水の大切さに改めて感謝をしよう。

献水して英霊を慰め、水に感謝しよう

献水して英霊を慰め、水に感謝しよう

奥ポイント

人気の御守り「大丈夫守」

ご祭神である橋本左内が大切にしていた「急流中底之柱 即是大丈夫之心」の言葉にちなみ、福井県護国神社では「大丈夫守(ますらをまもり)」が授与されている。色や大きさはさまざまある。(初穂料800~1,000円)

福井県護国神社の「大丈夫守」

福井県護国神社の「大丈夫守」

こちらの御守りは、見えない所にもこだわりがある。
それはお守りの中に納められている内符(御神札)だ。内符に使われている奉書を漉いたのは、人間国宝に認定されている九代目岩野市兵衛氏。和紙のふるさととして昔から知られている越前で職人の技を受け継がれてきた第一人者だ。岩野氏の漉く和紙は、チリや汚れがほとんど無く、強く美しい。
その内符が納められた御守りを持つことで、「神様とのご縁が切れない」「強いご加護がいただける」という想いがこめられているのだそう。

福井県護国神社の「大丈夫守」

受験生に、病気療養中の方に、何かにチャレンジしている方に、どんな人にも「大丈夫」の言葉が書かれた御守りは大きな力となりそうだ。

奥ポイント×2

おわりに

最後に、神職の宮川貴文さんにお話を伺った。

福井県護国神社の宮川さん

福井県護国神社の宮川さん

宮川さん:

「英霊の方々がいてくださったからこそ、今の平和な世の中があるというのは間違いのないことです。その方々に感謝して『いつまでも平和でありますように』という祈りを込めることが、平和な時代を作る第一歩だと思います。その“想い”が無くなった時に、大きな災禍が起きてしまうのではないでしょうか。」

護国神社は、皆さんがお住まいの地域の近くにも必ずあるはず。
この約150年の間に国のために命を捧げられた尊い神様方をまつる護国神社は、もしかすると私たちにとって一番身近な神社かもしれない。
まずは地元の護国神社をお参りして、ふるさとを守り平和な今日を作ってくださった神様に手を合わせてみてはどうだろう。
そして、秀才で志の高かったご祭神 橋本左内をおまつりする福井県護国神社にもぜひ参拝に出かけてみてほしい。

基本情報

神社名

福井県護国神社 ~Fukui-ken Gokoku Jinja~

住所

〒910-0016 福井県福井市大宮2丁目13−8
2-13-8, Omiya, Fukui Shi, Fukui Ken, 910-0016, Japan

アクセス

JR福井駅よりタクシーで7分、すまいるバス「護国神社前」下車

HP

http://www.fukuigokoku.jp/index.html

こんな方におすすめ

受験生、幕末好き、歴史好き、病気平癒

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