吉備津神社
kibitsu jinja

吉備津神社 後編
~国宝本殿の中を特別取材!あらゆるご利益を享受しよう~

創建 古墳~弥生時代頃
御祭神 大吉備津彦命おおきびつひこのみこと
御神徳 延命長寿、産業守護、安産育児、学問芸術 など

山陽地方随一の由緒ある神社、吉備津神社。「桃太郎伝説」のルーツの地と言われ、国宝の本殿拝殿や長い木造の廻廊でも有名な神社だ。後編では吉備津神社の様々なご利益や、絶対に見ておきたい絶景の見所、御朱印の意味を紐解く。

奥ポイント

国宝本殿の中を特別取材

唯一無二の「吉備津造」の中とは

古くから広く信仰を集めてきた三備国一宮、吉備津神社。仁徳天皇が霊夢を見たことによって創建された由緒正しい神社である。
現在の社殿は、度重なる火災を経て明徳元年(1390年)、後光厳天皇からの勅命(天皇からの命令)を受けた、足利義満によって再興されたもの。完成したのは応永32年(1425年)なので、約600年経つことになる!

国宝の吉備津造の本殿・拝殿

本殿の大きさはなんと出雲大社の約2倍!

この本殿と拝殿は、全国でここだけでしか見られない建築様式であるため「吉備津造」と言われており、国宝指定を受けている。

今回、特別にお祓いを受けて本殿の中へ入らせていただいた。(通常は非公開)
拝殿から続く階段を上がると、外陣(げじん)がある。外陣の奥に金色の扉があり、その奥に内陣(ないじん)、さらに奥に内々陣があり、そこにご神体がまつられているそう。平面構造が多い神社建築だが、こちらは奥まるにつれて段差が高くなっていくのが特徴だ。

吉備津神社の御本殿

扉の奥に内陣、内々陣がある

本殿の中には、ぐるっと一周できるような廊下がある。江戸時代の頃は、このあたりまで一般参拝客も入ることができたらしい。
四隅にある「御崎宮(おんざきぐう)」の一つ、「艮御崎宮(うしとらおんざきぐう)」は、大吉備津彦命の第一のしもべとなった温羅(うら)、つまり鬼をまつった神社である。

吉備津神社の本殿内にある艮御崎宮は温羅(鬼)をまつっている

本殿の中には、神格化された鎌倉時代の狛犬の姿も。こちらの狛犬は現社殿が建つ以前、火事を知らせに走って来たと伝わる狛犬だそう。今でも神様のそばで鋭い目を光らせている。

吉備津神社の社殿の中にいる狛犬

鎌倉時代に作られた狛犬

本殿の背後にある秘密

あまり知られていない本殿の見所が、真裏にある。廻縁(まわりえん)を見てみると、小さな神棚のような扉があるのが分かるだろうか。

吉備津神社の御本殿の背後

ここには「矢取明神(やとりみょうじん)」という神様がまつられている。矢取明神とは、大吉備津彦命に鬼との合戦時にアドバイスをした矢の神様だ。

鬼の首が眠る御竈殿の方角を向いてまつられているのも面白い。今でも鬼を見張っているようだ。興味がある人は、本殿真裏の白い倉のあたりに登って見てみよう。

桃太郎が進学・芸能を後押し!

一童社は進学・芸能の神様

本殿の左奥にある階段を少し登った小高い平地にあるのは、「一童社(いちどうしゃ)」というお社。学問の神様菅原道真(すがわらのみちざね)公と、芸能の神様天鈿女神(あめのうずめのみこと)をおまつりしており、「進学合格」「芸事上達」の祈願に訪れる人が後を絶たない。

実は神仏習合の時代、大吉備津彦命は、空虚蔵菩薩という“知恵を授けてくださる仏様”として信仰されていた。その影響もあり、今でも学問芸術の守護神として、信仰されているのだ。

吉備津神社境内にある一童社は進学・芸能の神様

一童社の見所は、この奉納された絵馬でできた「祈願トンネル」。枠には熱い応援メッセージが手書きで書かれている。
トンネルに奉納された桃太郎の絵馬たちも、参拝者を応援してくれているようだ。


一童社の祈願トンネル


桃太郎も応援してくれているようだ

さらに横には、合格の文字に結びつけられたおみくじが。

一童社は、まわりより少し高い場所にあるため風が心地よく、気持ちの良い参拝スポットだ。神様からの熱い応援を受けて、進学・芸能の成功を祈ろう!

一童社おみくじが「合格」の文字に結ばれている

安産育児の御祈願もできちゃう!

本宮社は安産育児の神様

本殿から南隋神門を通り長い廻廊を進むと「本宮社」にたどり着く。こちらは御祭神である大吉備津彦命の父神と母神をおまつりしている神社で、安産・育児の神様として信仰されている。

本宮社は安産育児の神様

お社の両脇には、育児にちなんだ絵馬が奉納されている。安産育児以外にも乳がん治癒の御祈願もあるようだ。女性の健康を守護してくれそうな神社である。

育児をテーマにした絵馬

奥ポイント×2

これぞ絶景!吉備津神社の見所

銀の龍の背に乗って

本殿と本宮社を結ぶように伸びる廻廊。瓦屋根の連なりを見ていると銀の龍の背のようにも見えてくる。南隋神門の横からその連なりをぜひ見てみてほしい。

この廻廊が興味深いのは、地面を掘削することなく、自然の地形に沿って立っているところ。柱をよく見てみると、それぞれが角度を変えながら屋根を支えている。天正7年(1579年)に再建され、今は県の重要文化財にも指定されている貴重な建築物だ。約360メートルの木造の廻廊を歩きながら、歴史に思いを馳せるのも良さそうだ。

吉備津神社の南隋神門から伸びる廻廊
南隋神門から伸びる廻廊

吉備津神社の廻廊の柱は微妙に傾いている
柱が微妙に傾いている

本殿と廻廊のベストコンビネーション

そんな長い廻廊と、吉備津造の本殿、そして隋神門が一緒に見られる場所がある。それは、御竈殿の横にある駐車場。普段は関係者駐車場として使われているため、あまり車は停まっていない。

本殿拝殿・・・国宝
南隋神門・・・国指定重要文化財
廻廊・・・県指定重要文化財

という貴重な建築物がそろったベストビューだ。
本殿の千木の凛々しさと、南隋神門から流れるように伸びる廻廊の美しさに、ため息が出そうな絶景スポットである。

吉備津神社の本殿と隋神門と廻廊が一緒に見える絶景

樹齢600年!御神木の大イチョウ

吉備津神社のシンボルの一つとなっているのが、樹齢約600年の大イチョウ。
御朱印帳にもイチョウの葉が描かれるほど、吉備津神社を象徴する木となっている。

吉備津神社の御神木、大イチョウ

吉備津神社の御朱印を解読

御朱印を読めばその神社のことがもっと分かるかもしれない。吉備津神社の御朱印にはどんな意味が込められているのだろうか。

吉備津神社の御朱印には、「三備一宮」の印がある。
三備とは、備前・備中・備後のこと。三つの国から一宮として信仰されるほど、吉備津神社が広く篤く信仰されていたことが分かる。

御朱印帳は、御神木のイチョウの葉が描かれたものと、桃太郎伝説のものと二種類ある。イチョウの御朱印帳は春夏秋冬で色が変わるらしい。

吉備津神社の御朱印帳

今回は、桃太郎伝説のルーツと言われる吉備津神社をご紹介した。鬼の首が眠る御竈殿も、国宝の本殿も、360メートル続く廻廊も、ココでしか見られない唯一無二のものだ。まわりには多くの史跡もあり、広く深く古代のロマンを感じられる。国内でも随一の悠久の地へ、ぜひ足を運んでみてほしい。

基本情報

神社名

吉備津神社 ~Kibitsu Jinja~

住所

〒701-1341 岡山県岡山市北区吉備津931
931, Kibitsu, Kita-ku Okayama-shi, Okayama, 701-1341, Japan

アクセス

JR吉備線(桃太郎線)「吉備津駅」から徒歩10分

HP

http://www.kibitujinja.com/

こんな方におすすめ

神話好き、厳かさが好き、車旅(まわりに沢山の史跡があります)

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