照國(照国)神社
terukuni jinja

照國神社 後編
~日本の歴史を動かした薩摩の心~

創建 元治元年(1864年)
御祭神 照國大明神(島津斉彬しまづなりあきら公)
御神徳 家内安全、商売繁盛
その他全般

島津家28代当主、11代藩主の島津斉彬公を御祭神とする照國神社は、鹿児島の総氏神様として県民から特別な親しみを持たれている神社である。西郷隆盛や多くの偉人が慕い続けた斉彬公の功績や、境内の奥に広がる隠れた見所に迫る。

稲荷神社を大切にする島津家

幕末期に活躍した薩摩藩主、島津斉彬公を祀る照國神社。参拝したあとは、奥地まで足をのばしてみよう。
本殿の左側には比較的新しい稲荷神社が祀られている。このお稲荷さんは「保食(うけもち)神社」という社名で、もともとは裏手にある城山(しろやま)の中腹に鎮座していたお社だそう。台風で被害を受けた後、照國神社の境内に再建されたのだ。これは島津家がとりわけ「お稲荷さん」を大切にしていることとも関係している。



保食(うけもち)神社(照國稲荷)

初代当主の島津忠久は大阪府にある住吉大社境内でお生まれになったと伝わるが、そのとき暗闇の中で光を灯し、道案内をしたのが“狐”だったという故事が残っている。よって狐が仕える稲荷神社は、島津家にとって特別だという背景があるのだ。

奥ポイント

水神地に潜む、薩摩と神様のつながり

さらに横の小路を奥へ進んでいくと、社殿のまわりがお濠で囲まれていることが分かる。このお濠の水は城山から湧き出た湧水だそう。(ちなみに手水舎の水も湧水)
本殿のまわりには東郷平八郎などの薩摩にゆかりのある偉人が手植えした植物も植えられている。

お濠で囲まれた社殿

裏手へ回ると人気はほぼなくなり、緑深さが増してくる。
そこで出迎えてくれたのは、鬼のような石像?これは龍神様の子供「蛟(みずち)」という霊獣だ。神社によると、ある日突然足元の石が積み上げられていたらしい。

龍神様の子供「蛟(みずち)」

龍神様の子供「蛟(みずち)」

龍神様の子供に案内されるように進むと「水宮」と書かれた鳥居が見えてくる。

照國(国)神社の水神地へ進む鳥居

ここから先は「水神地」と呼ばれている

鳥居の奥には、たくさんの苔生した祠が…
これらは「内神(うちがみ)」という神様。鹿児島では古くから、家の屋敷内に内神様をお祀りする信仰があった。
この水神地には、お役目を終えた様々な形の内神様が眠っているのだ。

内神様が眠る水神地

内神様が眠る水神地

それぞれの内神様に独特の特徴がある。薩摩の人々が神様をいかに身近に思い、ともに生きる信仰心を持っていたかが感じられる。


邪気を祓うような表情の神様


家の形をした神様

一番奥には、藩政時代に掘られた横穴式の井戸があったが、今は安全・衛生面を考慮し蓋がされ、水神様として祀られている。

藩政時代に掘られた井戸が眠る水神地

奥地にひっそり佇む水神地は、水の神様と役目を果たされた内神様をお守りする特別な場所なのだ。

奥ポイント×2

境内の隠れた見所

大鳥居に残された一つの傷痕

照國(国)神社の大鳥居
照國神社の大鳥居に残された傷痕


貫の端の部分に丸い傷がある

この傷は第二次世界大戦(大東亜戦争)の際に受けた弾痕。この他にも複数の傷を受けたが、あえて一つだけ修繕せず、歴史を忘れないよう形を残したのだそう。
また、冬至の頃にはこの大鳥居から朝日が昇る光景も見られる。

鳥居朝日

冬至には大鳥居より朝日が昇る

○○の形の木

斉鶴(さいかく)

斉鶴(さいかく)

「斉鶴(さいかく)」と呼ばれるこの木は、イヌマキの木で鶴が羽を広げた姿を模したもの。昭和37年に氏子たちによって献木されたのだ。斉彬公の「斉」を取って「斉鶴」と名付けられた。

照國神社を象徴するものが写った写真

照國神社を象徴するものが写った写真

斉鶴の先にある階段を登って後ろを振り返ると「斉鶴」「大鳥居」「国旗」「桜島」が写りこむ写真が撮られる。噴火した桜島も、参拝を祝福してくれているようだ。

照國神社の御守り

照國神社の特徴的な御守りをご紹介!

照國神社の御守り

照國神社で授与されている御守り

左から、
●珍しいデニムの御守り
●大河ドラマ「篤姫」で斉彬公が篤姫に授けたものをモチーフとした御守り
●斉彬公が好んで使ったという狂草(きょうそう)体で書かれた「思無邪(しむじゃ)」の御守り
 ※思無邪は論語に出てくる言葉で「よこしまな心は無い」という意味である
●南九州唯一の国宝「太刀 國宗」(照國神社所蔵)の厄除け御守り

鮮やかな紫色の御守りが多いのは、紫は「島津家の色」とされているから。

島津家の色、紫の御守り

御朱印・御社紋を解読

御朱印を読めばその神社のことがもっと分かるかもしれない。照國神社の御朱印にはどんな意味が込められているのだろうか。

照国神社 御朱印

初穂料 300円

御朱印には記されていないが、照國神社の御社紋は「丸十(まるじゅう)」といわれる紋。薩摩藩の家紋である。

照國神社の社紋「丸十」

主な由来は二通り。一つは、初代忠久の父源頼朝が授けたという説。もう一つは騎乗用の馬具の一つ、轡(くつわ)の形を表し戦う武士を象徴としているという説である。

明治維新の中心地と言っても過言ではない薩摩。日本の未来を先々まで見通し指揮を執った島津斉彬公の想いは、この照國神社から今でも発せられているのかもしれない。

基本情報

神社名

照國神社 ~Terukuni Jinja~

住所

〒892-0841 鹿児島市照国町19-35
19-35, Terukunicho, Kagoshima-shi, Kagoshima, 892-0841, Japan

アクセス

JR鹿児島中央駅より
徒歩20分
バスで約10分「天文館」バス停下車徒歩5分
市電で約10分「天文館」電停下車徒歩5分

HP

http://www.terukunijinja.jp/

こんな方におすすめ

歴史好き、明治維新、幕末、大河ドラマ

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