伊弉諾神宮
izanagijingu

伊弉諾神宮 後編
~太陽で結ばれた神様の縁、夫婦円満・縁結びの地~

創建 神代の時代
御祭神 伊弉いざなぎ大神のおおかみ
伊弉いざなみ大神のおおかみ
御神徳 国家鎮守 及び 延命長寿、夫婦円満・縁結び など

日本で初めて夫婦の契りを交わした夫婦神をおまつりする「伊弉諾神宮」は、その御祭神の伝説の通り夫婦円満・縁結びの聖地としても知られている。そんな人々の“ご縁”を応援してくださる神社は、実は神様同士の縁も結んでいた!?近年明らかになった、神様たちを結ぶある存在とは。

夫婦円満・縁結びの象徴

境内に出現した縁結びの御神木

日本神話の中で最初の夫婦の契りを交わし、夫婦となったイザナギ大神とイザナミ大神。そんな夫婦円満の象徴ともされる御祭神をおまつりする伊弉諾神宮には、まさにぴったりな夫婦の象徴がある。
それが、二株のクスノキの根幹が合体して一株になった「夫婦大楠(めおとのおおくす)」だ。

伊弉諾神宮の御神木

縁結び・夫婦円満・子孫繁栄

この夫婦大楠の樹齢は約900年で、幹回りは8.5メートル程もある。兵庫県指定の天然記念物だ。

縁結びのご神木

根元には、蛭子命(ヒルコノミコト)をおまつりする「岩楠(いわくす)神社」がある。蛭子命は、イザナギ大神とイザナミ大神の間に最初に生まれた御子神。こちらで子孫繫栄・夫婦円満・延命長寿のお祈りをする人は多い。

奥ポイント

神様を結ぶ太陽の軌跡

伊弉諾神宮は夕日を司っている

日本書記では伊弉諾神宮のことを「日之少宮(ひのわかみや)」と記している。イザナギ大神の御子である天照大御神(アマテラスオオミカミ)が「朝日の神」であるのに対して、イザナギ大神は「入日(いりひ)の神」つまり夕陽の神という意味だ。
よって、伊弉諾神宮は夕日を司る神社と言われている。

(ちなみに「西日」と書いて「いりひ」と読み、これも夕陽を表す。「西表島」と書いて「いりおもてじま」と読むのも同じ原理だ)

伊弉諾神宮の「陽の道しるべ」モニュメント

「陽の道しるべ」モニュメント

境内の参道そばにある「陽の道しるべ」モニュメントは、太陽と伊弉諾神宮の関わりを示したもの。

これによると、伊弉諾神宮が位置する北緯34度27分23秒と同じ緯度上に、アマテラスオオミカミをおまつりする「伊勢神宮内宮」がある。つまり、春分秋分の日は、伊勢神宮内宮から朝日が昇り、伊弉諾神宮の真上を通過していくのだ。

また、そのちょうどその中間に最古の都である「飛鳥宮藤原京(あすかのみやふじわらきょう)」があった点も偶然ではないはず。


【春分秋分】
日の出⇒伊勢神宮内宮~伊弉諾神宮 通過~日の入り⇒海神神社

さらに、注目したいのは夏至・冬至の太陽の動き。
【夏至】
日の出⇒信州諏訪大社/日の入り⇒出雲大社・日御碕神社
【冬至】
日の出⇒熊野那智大社/日の入り⇒高千穂神社・天岩戸神社

「陽の道しるべ」モニュメント

夕陽を司る伊弉諾神宮は、暦上重要な日の太陽の動きによってご縁のある神様を結んでいることが分かる。
 

江戸時代に作られた貴重なお神輿

豪華絢爛なお神輿の巡行

ご本殿の東側には、「神輿庫(しんよこ)」という神輿を収める倉がある。中に保管されているのは江戸時代後期に作られたと伝わる貴重なお神輿だ。

伊弉諾神宮の神輿庫

このお神輿がお目見えするのは、毎年4月20~22日にかけて行われる例祭。淡路島に春の訪れを告げるお祭りで、その最終日には賑やかな淡路神楽が奏でられるなか、氏子らにより10基の船壇尻(ふなだんじり)や、布団壇尻、曳壇尻が境内に練りこみ、神輿がそれらの壇尻を従えて巡幸していく。

伊弉諾神宮の例祭で見られるお神輿

神輿が向かうのは境外摂社である濱(はま)神社だ。濱神社は、イザナギ大神が筑紫方面から帰還した時に上陸されたと伝わる場所。氏子たちによる船壇尻は、海難から無事に帰還できたことをイザナギ大神に感謝するために勇壮に曳回されたものだ。

見逃せない!境内のここを見てみよう

大阪城の石材がここに!

一際目を引く巨石の手水鉢。こちらは、豊臣秀吉による大阪城築城の際に海に沈んでしまった石材を、氏子が海中から曳き揚げ手水鉢として奉納したものだ。

伊弉諾神宮の巨石の手水鉢

日本初の香りはここから生まれた?

日本書記によると、推古天皇3年の夏に香木(沈:じん)が初めて淡路島に漂着し伝来したと伝わる。その1400周年を記念して、平成7年に建立されたのが「香りの碑」だ。

伊弉諾神宮の「香りの碑」

目の神様、髪の碑

その他、全国でも珍しい神社がある。
本殿のすぐ右側に鎮座する末社「左右(さう)神社」。左右とは何のことかというと“両目”のことだ。
イザナギ大神が左目からアマテラスオオミカミ、右目からツクヨミノミコトをお生みになった神話にちなみ「眼病治癒」の信仰が篤い。

伊弉諾神宮の「左右神社」

他にも“髪”に感謝する「頭髪感謝碑」というモニュメントもある。「髪」は「神」や「上」に通ずるため、日本では昔から頭髪に霊魂が宿ると考えられてきた。そこで、頭髪に関わる業界の繁栄を祈り、頭髪への感謝を捧げる場所として建立されたのが「頭髪感謝碑」である。

興味深い見所が隠れている境内をゆっくり回ってみよう。

奥ポイント×2

宮司さんから教わったお祈りの極意

神社は願いを叶えてくれない?

特別に伊弉諾神宮の宮司さんにお話を伺うことができた。そこで開口一番、言われた言葉に我々は耳を疑うことになる。

宮司:

日本の神様は、祭祀を怠り不浄や穢れ(気枯れ)に触れることで罰は与えても、私的なご利益を与えてくれることはありませんよ。

いわく、神道は"個人信仰"ではなく「公」「全体」の幸せを祈るのが本来のカタチだという。我田引水のようなお祈りではなく「他人のために祈る」ことが大切なのだ。

そのお祈りを代表されているのが天皇陛下。天皇陛下はいつも「国民の安寧」のみを祈り続けておられる。少なくとも私的なお願いごとは決してなさらない。

伊弉諾神宮の鳥居と青空

このように、他人や全体としての幸せを祈る信仰は世界でも珍しい。日本がイザナギ大神の時代から今日まで続いてきた理由は、このお祈りのカタチにあるのかもしれない。

しかし昨今の“ご利益を期待する”参拝には疑問を感じるという。
神道の基本は「公・他人のために祈ること」。この記事を読んだ皆さん、ぜひ今日から意識してみてください。

伊弉諾神宮の本殿裏の参拝所

神社は願いを叶えてくれない?

ちなみに、伊弉諾神宮でお祈りされるなら本殿裏の参拝所もおすすめ。国生みの父、イザナギ大神が終焉の地に選ばれた場所をすぐそこに感じることができる貴重な場所なので、ぜひこちらでも祈りを捧げてみよう。

今回は壮大な神話の物語が始まった地、「伊弉諾神宮」を巡ってみた。

日本神話でもっとも有名な夫婦神が見守ってくださる神社へ、世界・日本・他人の幸せを祈る参拝に出掛けてみよう。

基本情報

神社名

伊弉諾神宮 ~Izanagi Jingu~

住所

〒656-1521 兵庫県淡路市多賀740
740, Taga, Awaji-shi, Hyogo, 656-1521, Japan

アクセス

津名一宮インターより5分
淡路交通「神姫バス」神戸三宮→ 64〜69分 → 郡家 下車 徒歩20分 他

HP

https://izanagi-jingu.jp/

こんな方におすすめ

神話好き、御神木好き、夫婦円満、デート

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