7割の人が知らない?
お稲荷さん、稲荷神社の神様はキツネではありません

私たちにとって、もっとも身近な神社の一つは「お稲荷さん」「お稲荷様」こと稲荷神社かもしれません。全国に8万社程ある神社のうち、3万社以上が稲荷神社というデータもあります。お稲荷さんはもっとも数が多く、身近な神社なのです。そんな稲荷神社と言えば、両脇に鎮座しているキツネさんが有名ですね。稲荷神社と言えばキツネの神様、というイメージが強いかもしれませんが、実はそれは違います。ではあのキツネさんの正体は何なのでしょうか?

お稲荷さんってどんな神様?

生活に密着した稲荷信仰

お稲荷さんは、稲作・農業の神様として信仰されています。
稲作の豊凶は、昔から日本人にとって生活に直結する大きな関心事でした。そのため、稲作の神様であるお稲荷さんへの信仰は全国へ広まっていったと考えられています。

今では稲作・農業だけでなく、衣食住、家内安全、商売繁盛、厄除など生活全般のご利益があると信仰されています。つまりお稲荷さんは生活に密着した神様のようです。

伏見稲荷大社の絵馬はキツネ型

稲荷神社のはじまり

全国に3万社以上ある稲荷神社の総本宮は、京都の「伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)」です。稲荷神社のはじまりを紐解くには、この伏見稲荷大社のはじまりを考えなければなりません。

『山城国風土記』の逸文によると、和銅4年(711年)、秦伊侶具(はたのいろぐ)という人物が、餅を的にして弓を射たところ、餅が白鳥になって山の彼方へ飛んでいき、その白鳥が降り立った場所に稲がたわわに実ったそうです。そこに神様をおまつりしたことが伏見稲荷大社の創建とされています。

伏見稲荷大社と言えば、秦(はた)氏の氏神様という認識が強いですが、風土記によると秦氏が信仰していたのは「伊奈利(いなり)」と表記されています。「稲荷」の方は荷田(かだ)氏がお祀りしていたという説もあるようです。つまり、同じ伏見稲荷山の中で複数の氏族による信仰形態があったようです。

いずれにしても「稲荷」の言葉には、「稲がなる」という意味が込められているのです。

伏見稲荷大社のキツネ様

お稲荷さんってキツネのことじゃないの?

お稲荷さんの正式名称

私たちは親しみを込めて稲荷神社の神様のことを「おいなりさん」「お稲荷様」などと呼んでいますが、果たしてその正式名称は何でしょう。

正解は、「宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)」

です。倉稲魂命(うかのみたまのみこと)とも記します。

全国の稲荷神社には、この宇迦之御魂大神の他に保食神(うけもちのかみ)、御食津神(みけつのかみ)などが御祭神としておまつりされることもあります。いずれの神様も「うか」「うけ」「け」という、食べ物を意味する名前を持つ神様です。

キツネ様の正体

では、稲荷神社の象徴でもあるキツネさんはどのような存在なのでしょうか?

キツネは、神様の眷属(けんぞく)なのです。

眷属(けんぞく)とは、神様の使者という意味です。つまりキツネはお稲荷さんの使いということになります。大昔、私たちのご先祖様方は、キツネを神聖な動物として捉えていました。それは、キツネが農事が始まる春先から秋の収穫期にかけて里に降りて姿を現し、収穫が終わる頃に山へ戻っていくため、農耕を見守る守り神のように考えられていたからという説があります。

人々は、そんなキツネを目には見えない霊獣「白狐(びゃっこ)」として信仰し、五穀豊穣の神様「お稲荷さん」のお使いだと考えました。これが稲荷神社にキツネが鎮座するようになった由縁です。
※他にもさまざまな説があります。

キツネがくわえているのは何?

バラエティー豊かなキツネたち

お稲荷さんの使いとして、全国の稲荷神社に鎮座するキツネの像。よく見ると、口に何かをくわえています。

例えば稲束、鍵、巻物、宝珠などをくわえたキツネを見たことはありませんか?これらにはそれぞれ意味があります。

稲束は、五穀豊穣に関連すると分かりますね。
鍵は、蔵の鍵だそう。富貴、豊穣、諸願成就を表します。
巻物は、仏教の経典です。
宝珠は、諸願成就の象徴です。

他にも、キツネはさまざまな宝具をくわえています。
ぜひ、お近くにある稲荷神社のキツネが、何をくわえているのか確認してみてください。

稲荷神社のキツネがくわえている鍵の意味とは?

初午祭とは

二月最初の午の日

毎年、二月最初の午(うま)の日には、全国各地の稲荷神社で「初午祭」が斎行されます。

これは、伏見稲荷大社の御祭神が降臨された日が2月11日(または9日)で、この日が初午の日だったという言い伝えによるものです。また、春に山の神が降りてきて田の神になり、秋にはまた山へ帰って行かれるという民間信仰とも関連しており、2月の初午に「山の神を迎える」という意味を込めて、祭りが定着していったとも考えられています。

伏見稲荷大社では、この日朝8時から「初午大祭」が行われ、初午詣に多くの参拝者が訪れるようです。初午の日にちは、毎年変わります。

2019年の初午は【2月2日】
2020年の初午は【2月9日】
2021年の初午は【2月3日】
となります。
伏見稲荷大社|初午大祭についてはこちら

まとめ

今回は、稲荷神社の象徴でもあるキツネについて紹介しました。
お稲荷さんとは、宇迦之御魂大神という稲作・農業の神様で、キツネはその眷属(神の使い)だったんですね。

厳密には、キツネ自体を神とする信仰もありますが、本来は「お稲荷さんの眷属」だということを覚えておくと良いかもしれません。神社好きの方でも半分の人は知らなかったこのキツネさんの立ち位置。
一般的にはもっと多い、7割以上の人が知らないかもしれません。

この機会に、キツネ様や眷属の存在についても注目してみてください!

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