籠神社
kono jinja

籠神社 前編
~日本人なら知っておきたい、
伊勢神宮のふるさと「元伊勢」とは~

創建 養老三年(西暦719年)
主祭神 彦火明命ひこほあかりのみこと
相殿 豊受大神とようけおおかみ
天照大神あまてらすおおかみ
海神わたつみのかみ
天水分神あめのみくまりのかみ

日本三景「天橋立」で有名な京都の丹後半島に鎮座する「籠(この)神社」。こちらは「元伊勢」「伊勢神宮のふるさと」と言われる由緒正しい古社である。境内には神宮との深い結びつきを感じる箇所が複数あり、貴重な秘宝も受け継がれている。古来より特別な神社として存在していた神社なのだ。日本人なら知っておきたい重要な聖地「元伊勢籠神社」の見どころを覗いてみよう。

天照大神と豊受大神の出会い

起源は奥宮「真名井神社」にあった

太古の昔、この地は天照大神(あまてらすおおかみ)の孫である「彦火明命(ひこほあかりのみこと)」が治めていて、食の神様「豊受大神(とようけおおかみ)」をお祀りしていたそう。その地が、今の奥宮にあたる「真名井(まない)神社」である。

籠神社の奥宮「真名井神社」の鳥居、両脇には龍神さまがいる

奥宮「真名井神社」が、籠神社の発祥の地である

天照大神と豊受大神が出会われた地

なぜ、籠神社が「元伊勢(もといせ)」「伊勢神宮のふるさと」と呼ばれているのか。それは伊勢神宮の神様「天照大神(あまてらすおおかみ)」と「豊受大神(とようけおおかみ)」が、遠い昔「真名井神社」で共にお祀りされていたからである。
少し難しいが、順番に説明すると以下のようになる。

① 彦火明命の子孫が、真名井神社で「豊受大神」を祀っていた。
② その頃天皇の命により、皇女が天照大神をお祀りするにふさわしい地を探していた。
③ 皇女は、真名井神社で豊受大神と一緒に天照大神を祀ることにした。
④ 4年後、皇女は再び天照大神が鎮座する永遠の地を求めて真名井神社から旅立った。
➄ その後数か所を経て、天照大神は伊勢の地に鎮座された。(伊勢神宮 内宮)
⑥ 約500年後、天照大神から天皇へお告げがあった。
 「食の神として、丹波の地の豊受大神を私の近くに迎えてほしい。」
⑦ 真名井神社の豊受大神は、伊勢神宮へ遷られた。(伊勢神宮 外宮)

奥宮「真名井神社」の御社殿

奥宮「真名井神社」の御社殿

神が宿るとされる磐座(いわくら)

社殿の奥には、神が宿るとされる磐座(いわくら)がある

豊受大神が伊勢神宮へお遷りになったあと、現在の場所にお宮を遷し「籠(この)神社」が創建された。

奥宮の真名井神社は、籠神社から徒歩約5分。車でも行くことができるが、駐車スペースは限られているため注意が必要である。ちなみに現在ご社殿は修繕工事中で、完了するのは今秋以降となっている。(※平成30年2月時点)

奥ポイント

天祖から受け継いできた秘宝の数々

籠神社の宮司は、彦火明命(ひこほあかりのみこと)の子孫・海部氏が代々つとめている。神話の時代にまでさかのぼることができる「系図」も残されているのだ。現在の宮司は82代目。由緒正しい神の子孫によって受け継がれてきた神社なのである。
4代目の祖先とされる倭宿禰命(やまとすくねのみこと)は、神話に登場する人物。神武天皇の道案内をするため亀に乗って現れたという。

倭宿禰命(やまとすくねのみこと)が亀に乗っている銅像

倭宿禰命(やまとすくねのみこと)が亀に乗っている銅像

その他にも海部家に代々伝えられてきた秘宝は数多くある。神宝の「邊津鏡(へつかがみ)」「息津鏡(おきつかがみ)」は、歴代宮司家に伝えられてきたもの。このような鏡は古墳などからの出土品として発見された例はあるが、宮司家の当主から当主へ継承されてきたものとしては他にない。約2000年前に中国で作られたものとされる。

邊津鏡
「邊津鏡(へつかがみ)」 前漢時代

息津鏡
「息津鏡(おきつかがみ)」 後漢時代

奥ポイント×2

「籠」の意味と幻の裏神紋

なぜ「籠(かご)」と書いて「この」なのか

籠と書いて「この」と読む神社名には、どのような意味が込められているのだろうか。神職の方によると「御祭神の彦火明命が、竹で編んだ竹船の籠に乗り海神の宮へ行かれたという故事が由縁になっている。」とのこと。
また“命を籠(こ)める”という意味の「籠(こ)」に、助詞の「の」を付けて「籠(この)」と呼ぶようになったらしい。

籠神社の表神紋と裏神紋とは

籠神社の御神紋とは

昔は籠神社の裏神紋として、△と▽を重ね、中央に〇(太陽)と☽(月)を描いた紋を使用していたようだが、ユダヤの六芒星と勘違いされることが多くなり今は使われていないようだ。真名井神社の石碑も以前は裏神紋を使用していたが、今は表神紋の「三つ巴(みつどもえ)」に変更されている。
△と▽のマークは、天界と地上をつなぐとされる天橋立の神話を表しており、△▽を重ねると籠の網目模様に見える。そして太陽と月は、天照大神と豊受大神を表現したものらしい。由緒ある裏神紋が再びお目見えする日がくることを願いたい。

刀傷の訳は?魂の宿った狛犬

神門の手前にある「石造狛犬」は鎌倉時代に作られたもので国の重要文化財の指定を受けている。頭が小さく胴と足が大きいのが特徴だ。
よく見ると、狛犬の前脚には刀傷が残されている。これは豪傑・岩見重太郎によって切られたもの。伝説によると、この狛犬には作者の魂が宿り、夜中に動き出して通行人を驚かせていたそう。そこで岩見重太郎が待ち伏せし、一太刀浴びせたところ、暴れることはなくなったそう。それ以来、霊験あらたかな「魔除けの狛犬」として伝えられている。

作者の魂が宿った狛犬
作者の魂が宿った狛犬

狛犬足
前脚に刀傷が残る

籠神社の御社殿

伊勢神宮と同じように、籠神社にも「撮影禁止」の場所があるので、ルールを守り、心の目に焼き付けながら参拝しよう。
後編では、社殿に込められた伊勢神宮と籠神社の秘密に迫る。

基本情報

神社名

籠神社 ~ Kono Jinja ~

住所

〒629-2242 京都府宮津市字大垣430
430, Ogaki, Miyazu-shi, Kyoto, 629-2242, Japan

アクセス

京都丹後鉄道 「天橋立駅」下車 徒歩1分
京都・大坂方面から高速バスも運行

HP

http://www.motoise.jp/

こんな方におすすめ

神話好き、旅行

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