賀茂神社
kamo jinja

賀茂神社 後編
~縄文人の心を今に伝える~

創建 天平8年(西暦736年)
御祭神 賀茂建角身命かもたけつのみのみこと
賀茂玉依比賣命かもたまよりひめのみこと
賀茂別雷命かもわけいかづちのみこと
火雷命ほのいかづちのみこと
御神徳 方位除・厄除・縁結び・馬守護・交通安全 その他

滋賀県琵琶湖の近くにある賀茂神社は、日本中の「気」が集まる中心地と言われる神社。陰陽道の技によって創建され、古からずっと日本を守ってきた。自然を慈しみ、縄文人の精神を今に伝える境内は、自分自身と向き合うのにピッタリな場所だ。また馬との関係も深く、競馬の聖地として注目を集めている。はたしてその理由は?奥深い賀茂神社の歴史と今に迫る。

奥ポイント

縄文時代を再現した祈りの空間

縄文人の心を受け継ぐ祈祷殿

1万年程も続いたとされる縄文時代。縄文人は自然と共存し人と協力し合って豊かに暮らしていたと考えられている。賀茂神社はそんな縄文人の心を、今に伝えようとしている神社だ。
たとえば御本殿のそばに近年完成したばかりの祈祷殿は、まさに「縄文人の心」を感じられる場所。

賀茂神社の祈祷殿(賀茂神社 提供)

賀茂神社の祈祷殿(賀茂神社 提供)

こちらの祈祷殿は、国内の様々な木々を用いて建てられたもの。一種類の木だけではなく何十種類もの木々が集まって初めて「森」ができるのと同じように、この祈祷殿もサクラ・クリ・ヒノキ・カシ・ケヤキといった様々な国内の木々によって成り立っている。派手な彫刻や塗装は一切ない。
「森の中で祈りを捧げていた縄文人の心を、ここに蘇らせたかった」と禰宜の岡田氏は語る。

森を再現した祈祷殿


十数種類の木々が集まり完成した、森のような賀茂神社の祈祷殿

調達が難しいと思われていた木材が、幸運にも見つかり完成に至ったそう。

ご縁があり取り寄せられた木材

ご縁があり取り寄せられた木材

中に入った瞬間に、木々たちの優しい香りと温もりに包まれる祈祷殿。この空間で御祈祷していただく前と後では、ガラっと心の軽さが変わるかもしれない。

白蛇が宿る御神木と、美しい木々たち

白蛇が宿ると伝わる御神木

賀茂神社境内には、エネルギーみなぎる木々が多くたたずんでいる。もっとも目を引くのは御社殿前の杉の木。樹齢800~1000年ほどで「神杉」「大杉」などと呼ばれている。しっかりと大地に根を張る力強さに思わず圧倒される。

賀茂神社の御神木は樹齢1000年程の杉

樹齢800~1000年の杉の御神木

さらに圧倒されるのは頭上のこの光景!

白蛇が宿る御神木

白蛇が宿ると伝わる御神木

この御神木には、昔から“白蛇”が棲んでいると伝えられ「見つけた人は富を得る、幸せになれる」と言われている。
透き通った空を背景に四方に伸びた枝振りは、まさに白蛇のよう!思わず息を飲むような光景に出会える。

節目の美しい木々たち

鳥居ひとつにしても自然への畏敬が残されているのが賀茂神社の見所。
神馬像の前にあるこちらの鳥居をよく見ると、節目模様がいくつも見られる。木にとって節目は光合成をするために必要だった枝の跡。見栄えの均一性を重視するあまり避けた鳥居が多いが、できるだけ自然に近い形にしたいとの思いで残しているのだそう。

賀茂神社 神馬像前の鳥居
神馬像の前の鳥居

節目をあえて残している鳥居
節目をあえて残している

由緒が書かれたこちらの木材は、珍しい鼠子(ネズコ)という木と、楓(カエデ)を用いて作られたもの。こちらも節目の跡が存在感を放っている。

節目を残した由緒案内

節目を残した由緒案内

奥ポイント×2

ご縁を結ぶ榊の木

良縁・子授け・安産の御祈願スポットも発見!こちらの「連理眞榊(れんりのまさかき)」は、別々の榊が自然と一つに繋がったもので、縁結びの象徴となっている。江戸時代に繋がったというこの木は、恋愛の良縁だけでなく商売をされている方には仕事のご縁を、病気に悩まれている方には良い先生・治療法とのご縁を結んでくださるそう。

縁結びのシンボル連理眞榊(れんりのまさかき)

連理眞榊(れんりのまさかき)

この連理眞榊(れんりのまさかき)を祀る社は「産霊社(むすびのやしろ)」と呼ばれている。

縁結びの産霊社(むすびのやしろ)
産霊社(むすびのやしろ)

産霊社(むすびのやしろ)
奉納された鈴の緒が清らかな音を鳴らす

御祭神である賀茂玉依比賣命の不思議なご懐妊の神話から、縁結び・子授け・安産の信仰も篤い賀茂神社。姫様の御神徳がこの木に宿り、私たちの良縁を応援してくれているのかもしれない。

御朱印を解読

御朱印を読めばその神社のことがもっと分かるはず。賀茂神社の御朱印にはどんな意味が込められているのだろうか。

賀茂神社の御朱印を解読

御朱印に押された御神紋は「二葉葵(ふたばあおい)」。御祭神の賀茂別雷命が「葵を飾って祭りをせよ」というご神託を残したことにちなんでいる。その他境内には徳川の紋として知られる「三つ葉葵」の紋も見られる。
真ん中に書かれた「御猟野乃杜(みかりののもり)」とは、「賀茂の杜」の別名。日本の聖域と呼ばれたこのあたりの森のことを指している。賀茂神社のHPやパンフレットには正式名として「御猟野乃杜 賀茂神社」と表記されている。

今回は陰陽道によって建てられた賀茂神社の境内を巡ってみた。1300年ほど前に吉備真備が選んだ日本の聖域は、今もその末裔によって受け継がれている。
変わらぬ"何か"を伝え続けるふるさとのような境内をぜひ訪ねてみてほしい。

基本情報

神社名

賀茂神社 ~Kamo Jinja~

住所

〒523-0058 滋賀県近江八幡市加茂町1691番地
1691 Kamocho, Omihachiman-shi, Shiga-ken 523-0085 Japan

アクセス

JR近江八幡駅から近江バス「篠原駅行き」に乗車、「加茂東」バス停下車 徒歩5分

HP

http://kamo-jinjya.or.jp/

こんな方におすすめ

神話好き、自然好き、御神木好き、一人旅

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