浅草神社
asakusa jinja

浅草神社 後編
~青少年育成に力を入れる訳とは~

創建 平安末期~鎌倉初期以降
御祭神 土師真中知命はじのまつちのみこと
檜前浜成命ひのくまのはまなりのみこと
檜前竹成命ひのくまのたけなりのみこと
御神徳 厄祓・商売繁盛・家内安全・必勝祈願 その他

国内外問わず多くの観光客が訪れる浅草。そんな浅草の発展のきっかけを作った神様を祀るのが「浅草神社」だ。浅草寺・仲見世通り・雷門・演芸など魅力に溢れた街はどうして誕生したのか。浅草寺と浅草神社の違いとは?秘密が眠る浅草神社を巡る。

都内屈指の盛り上がり「三社祭」

浅草神社の「三社祭(さんじゃまつり)」は、日枝神社の山王祭、神田明神の神田祭とともに「江戸三大祭」の一つと言われている。毎年5月の第3金・土・日曜日に行われ、3日間で約200万もの人が浅草に訪れるそう。三社祭の「三社」とは、浅草寺の始まりに起因した三人の人物(浅草神社の御祭神)のこと。三社祭を浅草寺のお祭りと思っている人は多いが、正確には浅草神社のお祭りなのである。

浅草神社の例大祭「三社祭」

三社祭では、神様が乗っておられる三基の宮神輿(みやみこし)をはじめ、約百基の神輿が町を巡行したり、お囃子や芸子たちの大行列が登場したりと大いに盛り上がる。
また、東京都無形民俗文化財に指定されている「神事びんざさら舞」の奉納も。これは田植え行事を表現した踊りで、五穀豊穣・悪霊退散の願いが込められているのだそう。さらに獅子舞も登場し、子孫長久・悪霊祓いの祈願も行われる。

びんざさら舞2
三社祭で踊られる田楽舞「神事びんざさら舞」

びんざさら舞
東京都無形民俗文化財に指定されている

奥ポイント

青少年育成に力を入れる訳

浅草の街が一躍盛り上がりを見せる三社祭だが、今から10年以上前までは宮神輿の上に乗り手が座る行為が繰り返され、雰囲気の悪さが目立っていたそう。そこで浅草神社は「神輿乗り一切禁止」の決まりを設けた。
当時の高校生に、神輿の中には神様が乗っておられるので神輿に座ってはいけないことを説明したところ「小さい頃から見てきたので、悪いこととは知らなかった」と驚いていたそう。このことがきっかけとなり浅草神社では「青少年への強化育成」「日本伝統文化の継承」という正しい知識や日本伝統を伝える活動を始めた。


「青少年への強化育成」


「日本伝統文化の継承」

青少年への強化育成事業では、七夕飾り製作教室や、田植え、稲刈り、神社でのご奉仕を体験できる一泊二日の体験教室などを展開。
日本伝統文化の継承事業では、寺子屋の神社版、「社子屋(やしろこや)」と銘打って毎月1日に老若男女だれでも参加できる伝統文化体験教室を開催している。その他にも様々なイベントを企画しているので詳しくはホームページを見てほしい。
浅草神社 社子屋

年に二回は神社参拝「夏詣」とは

さらに、浅草神社が取り組みに力をいれているのが「夏詣(なつもうで)」だ。夏詣とは、一年の半分を過ぎた七月に神社に詣でて、半年間無事に過ごせたことへの感謝を伝え、年の後半の更なる平穏を願うというもの。いわば初詣の夏バージョンだ。

「夏詣(なつもうで)」とは

夏詣に訪れる参拝者

この夏詣は、平成26年(2014年)に浅草神社が提唱しはじめ、現在では北海道から宮崎まで多くの神社・仏閣が参画している。
一年間のうち、日本人が神社に詣でる回数は初詣の1回のみという人が意外と多いそう。神社参拝のきっかけを増やす夏詣は、今後日本の新たな風習として定着していくかもしれない。

奥ポイント×2

あのマンガの主人公が?境内の見所

鳥居を通って右側に進むと、木々の下で寄り添う二匹の狛犬がいる。この狛犬は江戸時代に作られた貴重なもので、その寄り添う姿から「良縁」「夫婦和合」「恋愛成就」のご利益があるとされているそう。いつからか番傘が添えられるようになり、訪れる人々の心を和ませている。

浅草神社境内にいる夫婦狛犬

夫婦狛犬

その他にも境内には10基以上の石碑がある。特に新しく目を引くのは「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の石碑。主人公、両津勘吉のイラストと「友情はいつも宝物」のメッセージが彫られている。
両津勘吉の地元は浅草で、小さい頃浅草神社の御神木の根元にタイムカプセルを埋めたというストーリーがあるのだ。

浅草神社境内にある、こち亀石碑
こち亀石碑


タイムカプセル埋蔵の碑

実際にタイムカプセルが埋蔵された後の石碑もある。
 
ちなみにこの槐(えんじゅ)の木の御神木は、御祭神である檜前兄弟が海中から観音像を拾い上げられた際、槐の木の切り株に安置したことから御神木とされている。浅草神社の槐の木は倒れてしまっても境内のどこかに必ず次の槐の木が自生するのだそう。

浅草神社の御神木

浅草神社の御神木 槐の木

次に注目したい石碑は、平成30年3月に建立されたばかりの「三柱の石碑」。御社殿の左側にあるこの石碑には、御祭神の「土師真中知命・檜前浜成命・檜前竹成命」の名が刻まれている。ちなみに御本殿にもこの配置と同じように祀られている。三社様がいたらかこそ、今の浅草の発展があったことを忘れてはならない。

浅草神社の御祭神を表す、三柱の石碑

三柱の石碑

この石碑の形は、浅草の御社紋をかたどったものである。

御朱印解読

御朱印を読めばその神社のことがもっと分かるかもしれない。浅草神社の御朱印にはどんな意味が込められているのだろうか。

浅草神社御朱印解読

浅草神社の御社紋は「三網紋(みつあみもん)」というここでしか見られない紋。
網目は、浅草寺のご本尊である観世音菩薩様が網にかかり発見された伝承を表し、その網を三つ重ねることで三人の神様が祀られていることが分かるようなっている。

浅草発展のきっかけとなった神様を祀る浅草神社は、地元浅草や日本の未来のために大切なことを伝え続けている神社だ。
身近であり崇高である神様に会いに、ぜひ訪れてみてほしい。

基本情報

神社名

浅草神社 ~Asakusa Jinja~

住所

〒111-0032 東京都台東区浅草2-3-1
2-3-1, Asakusa, Taito-ku, Tokyo, 111-0032, Japan

※補足説明の「東京最古の寺社」は浅草寺のことを指しております。

アクセス

地下鉄・東京メトロ銀座線/浅草駅から徒歩7分
地下鉄・都営地下鉄浅草線/浅草駅から徒歩8分
東武線浅草駅から徒歩7分
つくばエクスプレス浅草駅から徒歩8分

HP

https://www.asakusajinja.jp/

こんな方におすすめ

祭り好き、一人旅、御朱印好き

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