夏越の大祓とは?
なぜ日本人は大昔から穢れを祓ってきたのか

今年も早いもので半年が終わろうとしています。新年に立てた目標や誓いは順調に進んでいるでしょうか。この時期全国の神社では、「夏越の大祓(なごしのおおはらえ)」という神事の準備が進められています。神社によっては茅の輪(ちのわ)や人形(ひとがた)が置かれているところもあるでしょう。果たして夏越の祓とは?茅の輪や人形の意味は何でしょうか?古代から行われてきた日本の大切な伝統についてご紹介します!

夏越の祓(なごしのはらえ)とは?

夏越の大祓とは、心身の穢(けが)れ、罪や過ちを祓(はら)い清める「大祓」の神事のことです。全国の多くの神社では、6月と12月の晦日に「大祓式」が行われます。
 ●6月の大祓、6月30日・・・
 「夏越の祓(はらえ)・夏越の大祓(おおはらえ)」
 ●12月の大祓、12月31日・・・
 「年越の祓・年越の大祓」
6月30日に行われる夏越の祓では、1年の前半を無事に過ごせたことに感謝するとともに、半年間の罪や穢れをお祓いし、残り半年も清らかな気持ちで過ごせるよう願う神事が行われるのです。多くの神社で自由参加となっているので、ぜひ足を運んでみてください。

ご自身が住む地域を守ってくださっている神様を知らない方は、この機会にご挨拶に行ってみるのも良いと思います。
氏神様については、こちらをご覧ください。
関連記事⇒「氏神様とは」

大祓(おおはらえ)のはじまりは?

日本人にとっての「祓」の大切さは、イザナギノミコトが、黄泉の国で受けた穢れを祓うため、水で禊祓(みそぎはらい)をした故事からも伺えます。
古代・中世を通じて行われてきた大祓ですが、室町時代の「応仁の乱」によって中断されることになったのです。

イザナギノミコトが穢れを祓ったと伝わる「みそぎ池」

イザナギノミコトが穢れを祓ったと伝わる「みそぎ池」

長い間中断されてきた大祓を再興したのは明治天皇でした。明治4年、明治天皇の思し召しで、宮中の賢所(かしこどころ)の前庭で大祓が行われ、翌5年には全国の神社で行うよう布告をお出しになり、400年以上途絶えていた大祓が再興されたそうです!現在では多くの神社の恒例式となっています。

人形(ひとがた)・形代(かたしろ)とは?方法は?

大祓では、「人形(ひとがた)・形代(かたしろ)」を用いて祓をします。人の形に切り抜いた紙に、自分の名前と年齢を書き、その人形で身体を撫でて息を吹きかけます。自分の罪や穢れを人形に移し、その人形を海や川に流したり焚き上げたりすることで、自分の代わりに清めてもらうというものです。神社によって撫で方や息の吹きかけ方・回数が詳しく決まっているところもあるので、そちらに従って行ってください。最近では、車形のものもあるようです。


人形を川に流す


人や車の形代がある

茅の輪(ちのわ)くぐりとは?

夏越の祓の時期に、茅の輪(ちのわ)を設置している神社も多くあります。茅の輪とは、チガヤで作られた輪のことで、この茅の輪をくぐることで更に穢れを祓い、無病息災を願うのです。これを「茅の輪くぐり」「茅の輪神事」などと言います。
茅の輪くぐりの方法は、
①一礼してから茅の輪をくぐり、左に回る
②再び一礼してから茅の輪をくぐり、右に回る
③また一礼して茅の輪をくぐり、左に回る
④最後に一礼して茅の輪をくぐり、そのまま神前へ進み参拝
一般的にこのような手順となっています。簡単に言うと、左右に「8の字」に回るというイメージです。左回りの時は左足から、右回りの時は右足から進む、という案内がある神社もあるようです。神社や地域によって風習が異なることもあるので、それぞれの案内に従ってやってみてください。

左右に3回「8の字」に回る

茅の輪くぐりの時に歌を唱えるという方法もあります。
「水無月(みなづき)の夏越(なごし)の祓(はらえ)する人は千歳(ちとせ)の命のぶというなり」という古歌を唱えながら8の字に3回くぐるのです。
他にも、「祓(はら)えたまへ、清めたまへ、守りためへ、幸(さきわ)へたまえ」という唱え詞を奏上しながらくぐる神社もあるようです。

細かな作法は神社によって様々。作法をしっかりこなすことも大切かもしれませんが、「祓い清めてまた新鮮な気持ちで半年間を過ごそう」と思う気持ちを大事にして、祓っていただきましょう!

なぜ、茅の輪をくぐるのか?

ところで、なぜ茅の輪をくぐると良いのでしょうか?それはある昔話が起源となっているようです。

昔、旅の途中で宿が見付からず困っている神様がいました。神様は、蘇民将来(そみんしょうらい)、巨旦将来(こたんしょうらい)という兄弟に宿を貸してほしいと頼んだそうです。しかし弟の巨旦将来は、裕福な暮らしをしていたのに断ってしまいました。兄の蘇民将来は貧しい暮らしをしていましたが、神様に宿を貸してもてなしたそうです。
神様はお礼に、「もしも疫病が流行した時は、茅の輪を腰に付ければ逃れられるでしょう」とお教えになりました。すると数年後、その地域で疫病が流行したにも関わらず、茅の輪を腰に付けた蘇民将来の家族だけは助かったそうです。後に、その神様は「スサノオノミコト」と分かりました。(備前国風土記、蘇民将来説話)

それから腰に茅の輪を付ける信仰が広まっていったと言われています。時代とともに大きな茅の輪となり、くぐることで罪や穢れを取り除けると考えられるようになっていったようですね。

夏越大祓とは

まとめ

いかがでしたか。日本人は昔から「穢れを祓うこと」をとても大事にしてきたのです。精神的な大掃除とも言える大祓。ちょうど1年の真ん中に行われる「夏越の祓」で半年間の穢れをリセットし、新たな気持ちで残り半分の令和元年(2019年)の運気を加速させ、後悔の無い年にしていきましょう。

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